化学メーカーの研究員がどのような仕事をしているかご存知ですか?
これから化学メーカーで就職しようと考えている人にとってはかなり気になる事かと思います。
そこで、今回は現役化学メーカー勤務のサラリーマン研究員が「企業研究員」の仕事内容について解説していきます。
今回の記事では「研究面」についてご紹介しております。
研究以外の仕事内容は下記事でご紹介しています。
この記事はこんな人におすすめ
- 化学メーカーの研究員がどのような仕事をするか気になる人
- これから化学メーカー研究員として働きたい人
- 他業種の仕事内容が気になった人
この記事を書いた人
もぐら夫
・夫婦でブログ運営
・国立大院化学系卒
・化学メーカー研究開発員
・2017年から勤務
・大学は有機材料系の研究
・仕事は高分子系の研究
本編の前に20代の理系向けに特化した就職サイトやCMで話題のリクルートサイトをご紹介!
就職や転職を考える時期になっているはぜひ参考にしてみて下さい。
企業研究員の研究
結論として企業研究員の研究内容は部署によります!
しかしそれで済ませては面白くないし、参考にならないので、どのような部署でどのような仕事をするのか解説します。
仕事はどの業種でも基本的に時間を意識する事が多いと思います。
化学の研究においても同じです。
企業毎に違いますが、時間軸は大きく下記の様な分類がされています。
チェックリスト
- すぐ先の未来を見据えた研究
- 数年先の未来を見据えた研究
- 数十年先の未来を見据えた研究
すぐ先の未来を見据えた研究
企業は営利集団なので、客先から多くの問い合わせが来ます。
化学メーカーであれば技術的な問い合わせも多く、それらに対して客先対応をする必要があるのです。
そして客先対応は研究員がしている場合が多いです。
具体的な問い合わせ内容は下記等が例として挙げられます。
問い合わせ例1
○○の性能を持った製品開発を考えている。
そこで、△△な特性を持った材料を開発して欲しい!
問い合わせ例2
この製品で○○な不具合が発生している。
そこで、原因を調査して欲しい!
問い合わせ例3
この製品で○○の材料データが欲しい。
そこで、データを提供してもらえないだろうか?
こう感じた人もいるかもしれません。
しかし技術的な仕事は技術を持った研究員にしかできません。
そのため、仮に研究っぽくない仕事でも取り組む必要が多いにあります。
また企業は顧客のニーズに応えることで、その対価としてお金をもらいます。
だからこそ客先との距離が近い、すぐ先を見据えた研究をする部署は顧客を大切にした技術フォローも重要な仕事になります。
ちなみに上記のような部署では、研究した成果が世に出るまでの期間が短い事が多いです。
そのため、自分の携わった製品が世に出る達成感を味わう事ができ、モチベーションも維持しやすい部署と言えます。
数年先の未来を見据えた研究
この時間軸での研究は先述の「すぐ先の未来を見据えた研究」と後述の「数十年先の未来を見据えた研究」の丁度中間のようなイメージです。
ただし、車業界等は製品開発に10年近くの期間をかける事が多いので、先述の「客先に近い仕事」がメインになる場合ももちろんあります。
その一方で、市場調査から始まり、後述の「基礎研究」よりの仕事になるケースもあります。
数十年先の未来を見据えた研究
数十年先を見据えた研究は一般的に「基礎研究」だとか「探索研究」等と呼ばれる事があります。
けど分からないなりに、未来がどうなるかを予測して、それに向かって研究する感じ
世界中の研究論文を読んで新しい研究の種を見つけるのも仕事の一つです。
化学研究員の研究対象
以下はある程度化学の知識を身に着けた人向けの内容になります。
ご容赦下さい。
大学等の研究では大別すると以下の様な分野があるかと思います。
化学系の分野
- 有機化学
- 高分子化学
- 無機化学
- 生化学
- 物理化学
- 計算科学
- 分析化学
※化学の分野詳細はこちらの記事でも紹介しています。
企業の研究内容は、企業毎にカラーがあります。
どのような製品を取り扱っているかはHP等で確認できますので、気になる企業がある人は調べてみて下さい。
とはいえ、一般的に化学メーカーの研究で最も多いのは高分子化学の分野です。
何の高分子を研究するかで研究チームが分かれている場合もあります。
低分子化合物の研究をする場合もありますが、高分子原料としての研究である場合が多いです。
例)特殊ポリエステルの開発研究⇒用途に合ったジカルボン酸とジオールの合成・開発
大学との大きな違いは、重合だけでなく材料加工技術の研究もする事です。
大学で学んでなかったとしても、会社に入ってから身に着ければよいので、今知識や技術がなくても特に問題はないです。
その他の分野は、1例として以下等があります。
- 有機系:高分子モノマー、薬品系等
- 無機系:触媒研究やガラス材料、デバイス洗浄用の薬液等
- 生化系:農業系、エネルギー系等
- 物理系:生産技術研究、プラント設計等
- 計算系:未知化合物の物性予測、分子構造シミュレーション等の研究があります。
- 分析系:分析等
化学メーカには様々な研究分野がありますが、注意点は大学の時の研究テーマに近い部署になるとは限らないという事です。
やりたい研究はできるのか?
研究内容について、企業の研究員はやりたい研究ができるとは限りません。
社風にもよりますが、ある程度自分の部署に関係のあるテーマを研究する必要があります。
もし、本気でやりたい研究があるのであれば、上司にプレゼンをして研究をやる事で会社が得られるメリットを提示する必要があります。
それが通れば、自分のやりたい研究ができます。
ただし、それが億劫だという人はアカデミックの世界の方が向いています。
企業はアカデミック程の自由さはないかもしれませんが、営利団体なのでビジネスができるという楽しさもあります。
研究も好きだけど、製品を世の中に出してみたい!とか営業的な事もしてみたい!とか考えている人は企業研究員が向いています。
進路を選ぶ際は自分がどちらのタイプか考えてみると良いでしょう。
まとめ
今回は現役化学メーカー研究員が「化学メーカーの仕事内容(研究編)」についてご紹介しました。
研究の時間軸は、近・中・遠に分けられて、仕事内容もそれぞれ変わってきます。
研究内容に関しては、高分子の研究が多くされており、大学時代の研究テーマと近い部署になるとは限りません。
以上、化学企業の研究員をキャリアに考えている人のご参考までに。
最後に改めて就職サイトをご紹介!