化学メーカー研究員の仕事内容は研究だけではありません。
そこで、今回は現役化学メーカー勤務のサラリーマン研究員が「企業研究員」の仕事内容について解説していきます。
今回の記事では「研究面以外」についてご紹介しております。
研究と出張の仕事内容は下記記事でご紹介しています。
この記事はこんな人におすすめ
- 化学メーカー研究員が研究以外でどのような仕事をするか気になる人
- これから化学メーカーで働きたい人
- 他業種の仕事が気になった人
この記事を書いた人
もぐら夫
・夫婦でブログ運営
・国立大院化学系卒
・化学メーカー研究開発員
・2017年から勤務
・大学は有機材料系の研究
・仕事は高分子系の研究
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就職や転職を考える時期になっているはぜひ参考にしてみて下さい。
研究以外で研究に近い仕事
試作品生産
ほとんど研究と言っても問題ない気はしますが、「試作品生産」は研究以外でカテゴライズしました。
一般的に、製品は以下のステップで世の中に出ます。
製品が世に出るまで
- 市場調査(ニーズ)または研究(シーズ)から製品案を出す
- ラボスケール(小さいスケール)で製品開発
- 客先へサンプル提供&フィードバックを貰いつつ改良を重ねる
- スケールアップして製品を生産する
- 量産する
研究員の仕事は上記の1~4です。
1~3は完全に研究ですが、4に関しては研究と生産技術の中間くらいの仕事になります。
そのため、この仕事は研究員と生産技術員が協力して進めていく事になります。
メーカー勤務でない人には驚きかもしれませんが、製品を他社工場で生産(外注)する事もよくあります。
よって、この仕事は必ずしも社内の人と一緒にするとは限りません。
実際に著者のキャリアの中でも、社内の工場部門の人と一緒に仕事をする事もあれば、外注先の人と一緒に仕事をすることもありました。
また試作品生産は技術的な知識+業務調整力が必要な仕事です。
ここで言う技術とは研究所の知識+生産技術の知識です。
製造業に携わっていなければ想像しにくいのですが、小さいスケールで上手に製品が作れたからといって、大きなスケールでも同じくうまくいくとは限らないのです。
この課題を解決するまたは見つける事が主な仕事です。
市場調査
試作品生産と同じく、研究業務と言っても良い内容です。
具体的には「研究テーマを見つける」という仕事です。
実際の市場調査方法は主に下記3つです。
市場調査の方法
客先・情報会社・商社等から直接情報を得る
展示会や学会等のイベントから情報を得る
特許や論文から情報を得る
ググる
まあ使い方としては広く浅く調べる時とか、簡易的に調べる時に使うかな
論文に関しては、市場調査として挙げていますが、研究で分からない事が出てきた時に勉強するための教科書として使う事が多いです。
また意外に思う方もいるかもしれませんが、研究員は市場調査で人と関わる機会がかなり多いです。
2020年以降はwebでの面談が多くなりましたが、それまでは結構色々なところに出張に行く事が多かったです。
客先対応
企業は営利集団なので、客先から多くの問い合わせが来ます。
そして、その中の技術的な内容には基本的に研究員が回答します。
これはアカデミックの研究員との大きな違いの一つです。
具体的な問い合わせ内容は、製品に対する不具合や材料データに関する問い合わせや、新製品開発、共同研究の依頼等があります。
社外の人も含めて、密に意見を交換しながら進めていく仕事になります。
また客先は国内とは限りませんので、客先対応でも海外の人と仕事をする機会もあります。
研究に必要な装置の導入
研究に必要な装置は研究員が導入します。
使うのも研究員なので当たり前ではありますが。
ただし、研究で使う装置は高額である事が多いです。
そのため、
- なぜその装置が必要なのか?
- なぜその装置を選んだのか?
- 他の装置では替えがきかないのか?
など、いくつかのポイントを意識して金額に応じて承認のための書類を書かなければなりません。
正直めんどくさいです(笑)
ちなみに、研究に必要な試薬も研究員が購入処理をします。
定常作業のマニュアル化
「研究」は日々の仕事内容が流動的で変わっていきます。
しかしその中でもルーティーン化できる実験や分析等はあります。
研究員はこれらの「ルーティーン化できる作業」のマニュアル化も行います。
この仕事の目的は新しく来た人がすぐに同じ実験をできるようにする事です。
そうする事で人の入れ替わりがあっても、チームとしての業務遂行力が落ちません。
研究から遠い仕事
安全活動
企業は「安全第一」がスローガンみたいなものです。
そのため、安全に関する職場環境改善活動も業務の一つとしてあります。
ちなみに、法律で一定規模以上の事業所は毎月RC(Responsible Care)と呼ばれる、安全に関する会議を行う事が義務付けられています。
ぶっちゃけると、RC会議は眠くなるし、めんどくさいです。
しかし直接的な研究業務ではありませんが、安全意識が高まるこの業務は、誰しも健康や安全が一番大切なので重要と言えます。
清掃活動
関連会社が事業所内の清掃をしてくれる場合もありますが、細かいところは自分達で清掃をします。
また、著者の所属する会社では研究所の外周道路に落ちているごみ拾いを定期的に研究員が行っています。
まとめ
今回は現役化学メーカー研究員が「化学メーカーの仕事内容(研究以外)」についてご紹介しました。
研究以外の仕事と言っても、研究に近いものも多くあります。
しかし企業の研究員はサラリーマンでもあるので、研究だけやっておけばOKではありません。
化学系企業の研究員を目指している人のご参考になれば幸いです。
最後に改めて就職サイトをご紹介!